本の紹介『まばたきとはばたき』 鈴木康広

 

《ファスナーの船》という作品をご存じでしょうか。2010年の瀬戸内国際芸術祭に出品された作品で、文字通りファスナーの形をした船が海上を走ることで波が立ち、それが水面を開いていくように見えるというものです。作者である鈴木康広の作品集『まばたきとはばたき』がニュー荷しました。
 
収録されているスケッチは、すべて作品制作後に描かれたもの。実物の《ファスナーの船》はラジコン式ですが、スケッチでは豪華客船のようにビックサイズになっています。他にも、アルミホイルで制作された《銀閣寺のチョコレート》や、お皿にのこったわずかなスープを傾けて、三日月をつくる《スープの満ち欠け》など、誰かに共有したくなる楽しいアイデアばかりです。

『まばたきとはばたき』
鈴木康広
2011年 青幻舎