本の紹介『ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション』展覧会図録

 

吠える狼の横顔に、背景のポップな花の絵。10年以上前に開催された展覧会なのに、このメインヴィジュアルはよく覚えています。

精神科医の高橋龍太郎氏によるアートコレクションを、美術館ではじめて公開した際の図録です。コレクションを続ける同氏のあたらしい展覧会が現在、東京都現代美術館で開催中です。

 

 改めてこのネオテニー・ジャパンの図録を見たところ、高橋氏がアーティストひとりひとりに愛としか言いようのないコメントを寄せていて、まるでファンレターのよう。

今回の展覧会でも彼が「アート界の女神」と称した草間彌生の作品群を出発点とした、現代美術100本ノックの宝箱をお披露目しています。

 

展覧会ガイドに「自由で時に暴力的な『こどもの王国』」とありましたが、その言葉通りでした。アクセル全開で駆け回り、かと思えば途端に何かに集中し、全力で泣き笑う。そんなエネルギーに満ちた展覧会を、ぜひご覧ください。

『ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション』
2008年 美術出版社