本の紹介『誰のためのデザイン?認知学者のデザイン原論』D.A.ノーマン

 

 自宅近くのコインランドリーに新しい機械が導入されたのですが、掛け布団を洗うコースの選択方法がわからず、しょぼくれて帰ってきたことがありました。しかしながら、落ち込む必要はなかったかもしれません。


この本はデザインに、中でもとりわけプロダクトデザイン携わる方々におすすめの一冊。認知科学者によるデザイン論であり、「問題なのは機械の操縦を誤った人ではなく、誤らせたデザインのほうなのだ」というような語り口で、そのケースヒストリーを紹介しています。
「あなたがホテルに泊まったとき、シャワーの使い方がすぐにわからなかったり、見慣れないテレビやコンロで苦労したならば、悪いのはデザインの方だということを心に留めておくべきだろう。
そしてまた、この次にあなたが何かよく知らないものを手に取ったとき、初めてなのにすらすらと苦労なく使えたとしたら(中略)、誰かがそれを注意深く上手にデザインしているのである」(本文より)。

 

『誰のためのデザイン?認知学者のデザイン原論』
D.A.ノーマン
野島久雄訳
1994年7刷 新曜社