夜間飛行 桜那恵のコラム 甘夏ためつすがめつ4こめ

詩人は「んガッと掴んでぱっと放す」ということに長けています。

最近は何でも手放せ、と言いますが「手放す」とは「んガッ」と掴めた人だけが出来る、ということも覚えておく必要があります。

 

未来とは 過去の方角から走ってくるのだ

 

物凄いことばに出逢うと「え?何コレちょっと信じられない」と思います。それがどういう意味か、どんな真実が隠されているのかという以前に私は茫然と恍惚と、立ちすくみます。

 

つまり 死も

生誕の方角から

 

路線『花のもとにて 春』より

 

吉原幸子の詩は、もっと自由であっていいということを思い出します。そうだここに広い場所があった、と私はそっと微笑む。

今夜はよく眠れる気がする。

YONA Megumi

 

現代詩手帖特集版 吉原幸子/2003