こんにちは。
もうすぐ梅雨ですね。
憂鬱になりがちな湿度の多い季節には、良い音楽でも聴いて気分だけでも晴れやかにいきたい。
ということで、今日のホニャララは音楽の話です。
昔からたまにやる1人遊びに、「ミュージックアルバム10枚しか残せないなら何にする?」というのがあります。
これが結構悩んで良い暇つぶしになる。
「5枚」になると更に難しく、「クー!これは残したい!!でもあれも!これも!!」と決めかねて無駄に1人苦悩してみたり、悩みすぎて電車を降り忘れたり。
その時々でセレクトが変わるのも自分なりに面白いのだけれど、必ず入る不変のアルバムもある。
その中でも特に思い入れが深いのが、Carole Kingの『Tapestry』(つづれおり)です。
子供の頃非常に怖がりだった私は、毎日ラジオを流しながら眠りに就いていました。
ある夜流れてきた曲がとても気に入ってメモに取り、早速次の日にお小遣いとメモを握りしめ、当時まだあった「貸レコード屋」へ。
まだ小4くらいで英語もよくわからず、「ユーゴットアフレンド」と書いたメモを自信無さげにお兄さんに見せたら、「今日はないけど、明日またおいで。」と。
次の日再びお店に行くと、お兄さんが自宅で録音してきてくれたカセットテープをくれたのです。
それがCarole King『Tapestry』との出会い。
それまでも家族の聴く洋楽は耳にしていましたが、自分の好みで選ぶ洋楽はこれが初めてでした。
それからというもの、お店に通ってはお兄さんに様々なジャンルのアーティストを教えてもらいました。
『Tapestry』を聴き込むうちに『You’ve Got A Friend』よりも『A Natural Woman 』が好きになったと私が言えば、同じ曲を歌うAretha Franklinを教えてくれてソウルの道へ入ったり。
新しい音楽との出会いにいつもワクワクしていた私。
いくつカセットテープをダビングしてもらっただろうか。
やがて中学生になった私は部活の厳しい練習で休みがなくなり、それと同時期に世の中にはCDが出始め。
やっと行ける時間が出来て久しぶりにお店を訪れた時には、時代に淘汰された貸しレコード屋さんはひっそり閉店していたのです。
お互い連絡先も知らず、お店の中だけでの付き合い。
それまでのお礼も言うことも叶わない状況に、自分の不義理が情けなくて泣きました。
あぁ。またあのお兄さんに会いたいな。
そんな思い出と共にある『Tapestry』は、いつまでも特別な1枚なのです。
この思い出が無かったとしても、きっとその存在を知った時から長く聴き続けていただろうと思える名盤です。
恋人や友人、人生を女性目線で綴ったキャロルの歌詞は、どれも前を向いているように私は感じる。
それがたとえ別れの歌詞であっても不思議と湿り気を感じさせず、そこから立ち上がり、未来を見ようとする女性を想像させるのです。
そしてシンプルで美しいメロディーの中には、ジャズやソウル、ロック等 多ジャンルの要素が然りげ無く取り入れられ、巧みに構成されています。
どのジャンルの音楽ファンにも長く愛される所以はここにあるのでしょう。
語り掛けるように優しく温かいのだけれど、絶妙な加減で枯れている唯一無二の魅力的な歌声や、強弱のタッチを見事に使い分けた表現力のあるピアノ。
それはまさにBitter & Sweetであり、どんな気分の時にもフィットします。
収録曲はCMでもよく使われていましたので、聴いた事のある人も多いのではないでしょうか
多数のアーティストがこぞってカバーするのも頷ける、捨て曲無しの色褪せない1枚です。
未聴の方は是非聴いてみて下さい。