「ばーか。ぶったたく。しんでしまいました。ばかいぬ。おろしてみたまえ。くいころされる。うんち。うんこ。おしっこ。」
そんな~、いつのまに そんな言葉覚えたの?・・・そして うまいこと使うねえ。
どれも 絵本の中から 獲得したことばたち。はじめのうちは 「ばかばかばか!」とか けっこう抵抗ありました。でも そうそう、こういう 大人になってからは大きな声で使う事はめったにない 負の言葉たちも 覚えて使ってみなくちゃおぼわらないのよね。
「なにごとも じぶんでおぼえるが かんじん」(by「ねこのごんごん」)と 言われるように やたら使ったら 怒られたり、嫌がられたり、泣かれたり・・・。使い方に注意が必要っていう言葉たち。なんて 高度な!!そう、きれいな言葉より これらの方が使うのに技術が要る。
そんな 技術は使って覚えるべし。失敗しても良いからね~~。
というわけで オススメしていいかはご家庭の方針に寄りますが(笑)・・・今回は おきたない言葉の出てくる 絵本をご紹介します。
(少なくとも きたない言葉を 大人の知らないうちに お外で 覚えるよりは 大人もいっしょに味わって、「ああ あの本に書いてあったもんね」って知っている方が なんとなく大人の気持ちが軽いのは事実で、 いっしょに読んで知っておくこと、をオススメします。)
「ぼく、だあれ」天野祐吉 文/梶山俊夫 絵/こどものとも330号 福音館書店
みんなの中にいる(もちろん大人にだって)わすれんぼうや けちんぼうや ふざけんぼうや あまえんぼう。先日 お亡くなりになってしまいましたが天野祐吉さんの楽しいテキストです。「べーだ」「まねするなー」「ばーか」でも 絵本の中で味わってからだとこれらのコトバもなんだか愛しいですよ〜〜。♡ わが家では「わすれんぼう」のところで「おかあさんといっしょだ」って言われちゃいました。
「ラチとらいおん」マレーク・ベロニカ さく/徳永康元 訳/福音館書店
「〜してみたまえ。」って えらそうに話す らいおん。読んだ日の夜に 子ども用の椅子から「おろしてくれたまえ」って言われてビックリ!偉ぶりたいという おこちゃまな雰囲気が出て笑えます。この絵本は本当に見所満載だった。さすが名作〜。
「ラッキー」「ゆきあそび」菊池日出夫 さく/福音館書店 こどものとも
「いし ぶつけろ」「いまのうちだ にげろ」「こんどいったら くいころされちまうずら」「やあい おんなのなかに おとこがひとり」「うるせえ」「それ ぶっけろ なかしてやれ」「このやろう てめえ」「この ばかいぬ」「あぶねえ」‥‥、ずらずらっていう 浅間山のふもとの方言の 子どもたちの会話がおもしろいです。いじめっこが出てきても こどもらしい風景の中だから 心地悪くならないのかも。
「おによりつよい おれまーい」土方久功 作/福音館書店
小さな子どもなのに 強いおれまーいのことを「みんなで うまくだまして ころしてしまおう」っていう大人たちのことばにびっくり。作者の土方さんは 自らサトワヌ島で暮らしていた方で、このサトワヌ島民話の風景は本物なんですね〜。
「せんたくかあちゃん」さとうわきこ 作/福音館書店
さとうわきこさんの絵本はいつも強くて かっこいい女の人が出てきます。せんたくかあちゃんの言葉も「なんだい だらしがないねえ」とか「まかしときい」とか男前。おかあさんって 時々 男前になってしまうことがあるので さとうわきこさんの絵本で なぐさめられるような、まいっかと思える。男っぽい言葉は おもしろいのか子どももすぐ習得しますね。お父さんの言葉もすぐ習得、「うまっ(おいしい)」「くう(食べる)」「っつーか」‥‥云々。
「オンロックがやってくる」おのかおる さく/こどものとも 福音館書店
この絵本にならって「やーい でてこい おかあさん!まぬけのおかあさん!」って言われてた時期が‥‥。この絵本は最終的に いたずらっこの勝利で終わる「え〜〜!!」って内容です。
「ようちゃんともぐら」石井桃子 さく/熊谷元一 絵/こどものとも 福音館書店
もぐらをみつけた ようちゃんが「ぼくが あそんで ころすんだ」っていうのが ショッキングでした。大人になってそういう感覚は 心の中の箱に閉じ込めていると思います。でも もともとの子供の野性や探究心はそこにあるんだろうな。自分も低学年くらいまでの間にかなり 残酷なことして大きくなったなと思うのでした。
「そらまめくんのベッド」なかやみわ さく/福音館書店
「ぼくたちに貸さなかったバツだよ。」~そんな厳しい言葉 どこにあったの?ってきいたら、「おまめのはなしに」って。たしかにありました。私の脳裏には残らなかったのに 子どもの頭にはしっかり残ったことばだったことが判明。恐るべし。ホントに・・・。ばちがあたるって 大人でもかなりコワイことよね。自分本位ばっかりは ダメというルールは むしろ子どもの世界でのほうが守られているのかも。
「かいじゅうじまのなつやすみ」風木一人 作/早川純子 絵/ポプラ社
「にげまわるガキどもを ありんこみたいにふみつぶしたよ」「がきのころとおなじにしないでくれ」「よっしゃ たっぷりこわしてこようぜ」そんな 男コトバのオンパレード。このかっこいいかいじゅうたち ワイルドです。‥‥でも ほんとうは やさしくてかわいいキャラクターなのが 何度も読みたくなるワケです。
「おごだでませんように」くすのきしげのり さく/石井聖岳 絵/小学館
主人公の「ぼく」は友だちにパンチやキックをしますが「『なかまにいれてやらへん』といわれたのは ぼくの心がもらったパンチや」と言います。それもそうでしょう。使い方によっては言葉も暴力、くれぐれも気をつけて。
「ふたりはふたご」田島征彦・田島征三 さく/くもん出版
「とろいきに にげたがじゃ」「せいちゃんが わるい」「ゆきちゃんが いかん」など 方言だと 強くも やわらかくも 感じ方が変わっておもしろい。仲良しこそけんかもするし けんかしてもまたすぐに仲直りの風景が安心します。
「きつねのホイティ」/シビル・ウェッタシンハ 文/松岡享子 訳/福音館書店
ホイティのうた「むーらのおんなは ばかぞろい‥‥ きつねとしらず このおれさまに ごちそうだして もてなした」これに対して 村の女たちも 負けてない。「ぶったたいてやろうかしら」こんな 過激な?内容ですが おもしろいんですよね。
人は本当にいろいろなコトバを使って生きていきますねえ。悪いコトバと良いコトバって簡単には分けられない、紙一重のような部分がたくさん。コトバの使い方は 難しいし失敗もします。だからこそ 中身というか 言葉の前後、その言葉を発した人の背景などが大事だな〜と思います。
そして 言葉が「人を傷つけることもある」事を 大人の側こそ 心にとめて大切に使っていきたいものです。絵本やおはなしを通じて言葉を覚えることはそんな 背景まで含めてコトバを受けとめられて本当にすてきだと よくよく感じています。
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