○大地の芸術祭
大地の芸術祭は、新潟県越後妻有地域(十日町市・津南町)で行われている大規模な国際展。2000年にはじまり、3年に1度行われ、今回で5回目だ。
こ の芸術祭がはじまるきっかけは、新潟県が企画した地域活性化事業「ニューにいがた里創プラン」。この事業に基づき、十日町地域の6市町村(現在では合併に より十日町市と津南町の2市町)が、「越後妻有アートネックレス整備構想」というアートを活用した地域活性化事業への取り組みを始め、その成果を発表する 場として、大地の芸術祭が設けられた。
どんとたたずむ山 ひろいひろい空 だんだん棚田
そのなかに ぽこんぽこんと 作品は、
自然と人の営みとを 織りなしている。
自然と一体になった作品や、地域の暮らしを活かした作品、廃墟や廃屋を活用した作品など、ひとつひとつの作品が、この地と向き合い、対話して、実をつけている。
5回目を迎えた今回、作品や施設など、これまでの芸術祭の歴史が、蓄積していることが感じられた。また、地元の方々による案内や料理の提供などもあり、人々のエネルギーもまたたくわえられていることが印象的であった。
9月17日(月)まで。
○福島ビエンナーレ
福島ビエンナーレは、福島を拠点に活動する若い作家に発表の場をと、2004年にはじまった国際展。2年に1度行われ、今回で5回目を迎える。中心となって運営しているのは福島大学の学生たちだ。
今回のビエンナーレ全体のテーマは、「SORA」だ。これは、高村光太郎『智恵子抄』に収められている「あどけない話」よりとったものだという。
智恵子が「ほんとの空」と称した福島の空。福島の地がもつ魅力やイメージが出発点になる。
加えて、「震災復興祈念事業」とも謳われているが、いま、福島から発信するというと、東日本大震災や、原発事故のことがある。
放射能防護服をまとい、傷を負いながら、ヘルメットを外し、力強く立ち上がる子どもをあらわした、ヤノベケンジの巨大彫刻≪サン・チャイルド≫。
放射能を写し取った武田慎平の銀塩写真≪痕-写真感光材による放射能汚染の記録≫。
いわき市の2011年の闇を閉じ込めた、河口龍夫の彫刻≪DARKBOX2011≫。
出品作品は、福島在住の若い作家による作品から、世界で活躍するベテランの作家による作品まで、多岐にわたる。そのどれもが、東日本大震災や原発事故を直接のテーマにしているというわけではない。
それでも、いま、福島から世界の空へ発信するのだという気概に満ちていた。
いくつもの、つくること、いきることへ想いと意志とが放たれていた。
9月23日(日)まで。
参考
※ウェブページのリンクは2012年9月2日現在
大地の芸術祭の里
新潟県「NPOと行政の協働事例集」事例18(平成21年2月)
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Simple/jirei18_tokamachi_ken_p40_41,0.pdf
十日町市公式ホームページ「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」とは
http://www.city.tokamachi.niigata.jp/kanko/10170400003.html
福島現代美術ビエンナーレ2012 - SORA -
http://wa-art.com/bien/bien2012/index.html
高村光太郎『智恵子抄』
ヤノベケンジ『サン・チャイルド』光臨プロジェクト in 福島現代美術ビエンナーレ2012
http://tenpo.ne.jp/KY001/project.html
SHIMPEI TAKEDA
河口龍夫
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