芸術を通じた、世界に対する止むことのない探究。
それは杉本博司が、
そして人間が共通に抱えている解けない謎への挑戦である。
『はじまりの記憶 杉本博司』は
日本、アメリカ、フランス、オーストラリアと杉本博司を追いかけ、
作品の制作場面、展示風景、日常の様子を映し出したドキュメンタリー映画だ。
きらきらと、ときに茶目っ気に満ちたまなざしで 世界を見つめる杉本博司の姿。
無邪気で、とてもしなやかだ。
語られる言葉がじわりと響く。
深く、深く、世界の根元を見つめていることが伝わってくる。
杉本博司の作品は、形象や構成の美しさはもちろんのこと、
物としての作品を超えた物語や概念に魅せられる。
杉本の姿を追ううちに、それらの物語は、
人間とは何か、この世界とは何か、ということに対するアイディアなのだと感じられた。
渋谷慶一郎の幾何学的な音楽が添えられ、
静謐なインスタレーション作品の中にいるかのような映像体験であった。
映画は全国順次公開中。
ギャラリー小柳で行われている展示、
原美術館での展示も併せて味わいたい。
<参考>
Hiroshi Sugimoto
http://www.sugimotohiroshi.com/
映画『はじまりの記憶 杉本博司』公式サイト
Gallery Koyanagi
http://www.gallerykoyanagi.com/
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
http://www.haramuseum.or.jp/jp/common/pressrelease/pdf/hara/jp_hara_pr_Sugimoto_120425.pdf
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