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連載コラム

あの轍で雨を知る ような恵のコラム 甘夏ためつすがめつ21こめ

昔コーヒースタンドでアルバイトをしていた時、ラテアートの練習と謳って、牛乳を一日一本泡立ててはシンクに流し、練習していた日々があった。

 

その時私は「こういうものなんだ」と思ってそれ以上考えることをやめたけれど、今思えばあれは、何か物凄いことが起こっていた。私は少しずつラテアートが出来るようになっていった。

 

きっかけはひょんなことだったけれど、いつからか動物性の食べ物をなるだけ摂らないようになった。牛乳が豆乳になって、ソーセージがちくわになった。魚と鶏卵はありがたく戴く。ペスカタリアンというらしい。今日まで、あの日の後ろめたさを私はどこかで感じ続けていたのかもしれない。

 

 

-人間が動物を利用することを否定しない 植木美希

 

その広さや繋がり、網目の際限のない大きさに、私はふと畏敬する。

ときどき恐れおののいて、じゃあどうなるんだろうこのままじゃこの星は、と思って私が一週間溜めたプラスチックごみの量に閉口する。

もう考えない方がめんどくさいなと思う。

 

―じつは「動物福祉」は、そのような人間の感情に左右されず、人間の保護管理下にあるすべての動物に快適な環境を与えましょうという考え方です。 町屋奈

 

この本は「ヴィーガンになれ」とか「ペットを飼うな」とか言ってるんではありません。

 

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本の紹介『H21.09.09– 紀ノ川』森田剛史 写真集

 

自分がここにいるということは必ず、両親がいて、さらに祖父母がいることとイコールだ。この本に登場する男性は写真家・森田剛史の祖父にあたる人物だが、わたしたちと同じように、彼にとってもまた、長い間他人だった。

写真集のタイトルである「紀ノ川」は、そんなふたりの故郷を流れる川だ。物心ついてから、目の前の人物が親族であると認識したとして、一体何を話せばよいのだろう。そして彼らは、互いの身近な存在を出し合った。「写真」と「紀ノ川」。

撮影地を指定するのは祖父の方で、一張羅のジャケットを着て、真っすぐに立ちこちらを見ている。
彼が身を置く風景はとても冴えていて、それは限りなく肉眼に近い色で、紙に印刷された。わたしはそのページを、澄んだ空気を吸うような気持ちでめくりながら、9月9日に去った、一人の女性の存在を意識している。

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